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菅政権ではコロナ対策は無理

日本全国で新型コロナウィルスの感染爆発が起き、テレビからも「医療崩壊」「医療壊滅」という言葉が日常的に聞かれるようになってきた。
そうした中、菅首相もようやく心配になってきたのか、1月16日に、とある学者と面会している。

 

菅総理大臣は16日午後、総理大臣公邸で、東京慈恵会医科大学で対コロナ院長特別補佐を務める大木隆生教授とおよそ1時間面会し、新型コロナウイルス対策をめぐって意見を交わしました。
このあと大木教授は記者団に対し、医療人材や病床を確保するためには、医療機関に十分な財政支援を行い、対応に当たる医師や看護師などの処遇を大幅に向上させるべきだと伝えたことを明らかにしました。
そのうえで「医療崩壊ということばが盛んに言われているが、97%、96%のベッドがコロナに使われず、一般の医療に使われており、余力が日本にはある。民間病院が、商売として『コロナをやりたい』と思うぐらいのインセンティブをつければ、日本の医療体制は瞬く間に強化される。菅総理大臣は『久しぶりに明るい話を聞いた』と言っていた」と述べました。
(2021年1月16日NHK)

 

ほとんどの民間病院が空いているのだから、カネ(インセンティブ:成果に対する報奨金)さえ出さば、商売になるから喜んでコロナ患者を受け入れるだろう、というのが主旨だ。
97%、96%という数字がなにを根拠にしているのか分からないが、実際にそれだけの余裕がありながら、現状で、悲惨とも言える「入院待ち」で命を落とす様な医療崩壊が起こっているというのだろうか。

 

医療機関に資金を入れる、こと従事者に手厚いボーナスを支給することは、言うまでもなく一刻も早くなされるべきだ。
しかし、民間病院がコロナ患者を受け入れていないのは、本当にお金の問題だけなのだろうか。
数か月に渡って日に万単位の新規感染者を出してきた欧米と比べて、日本にはなぜこんなにも早く医療のキャパシティを超える事態がやってきたのか。
そういう内容の特集がテレ朝で放送され、その時に示されたグラフが下のグラフだ。

 

 

大木教授の言う、90%以上の余力とはこういうことなのか?
この統計の出所が「厚労省」であるというところも留意しておきたい。
厚労省は、思惑通りの数字を出すために「意図的な」統計を出してくる悪い癖が昔からある。
そういう疑いの目で見れば、例えばこの「民間病院」の中に、精神科専門や産科専門といった、コロナ診療には最初から向いていない民間病院も含まれている可能性も疑われる。

 

この番組の中では、日米両国で意思としての勤務経験のある石川医師が、下記のように注意を促している。

 

石川医師「コロナは施設が整っていない民間病院で対応できるといった病気ではないですし、かえってそれは下手をするとほんとに医療崩壊につながる可能性もあるのかもしれません」

 

これは、素人が考えても納得できる指摘だ。
コロナ診療には、看護や治療に関する知識だけでなく、感染症に対する基本的な対応能力が必要となる。
防護服の着脱の方法、動線の仕分け方、これらは医者なら誰でも知っているという知識ではない。
医者や看護師の資格があるうえで、感染症に関するある程度の訓練、レクチャーが必要になる。
これらに関しては、いざとなった時に応援に入れるように、夏のうちから多く医療関係者を指導しておくべきだったのだと思う。

 

こうした準備のできていない民間病院に「インセンティブ」、つまりカネを付けて患者を任せてしまうと、たちまち院内感染が起きて、これまで回してきた通常の医療にさえ支障が出る危険がある。

 

しかし、なぜ玄人たちが、こういう危険を顧みず民間病院を動員したがるのか。
こんな記事がある。

 

尾身会長「系列病院」にコロナ患者受け入れ“後ろ向き”疑惑
・・・疑問視されているのは、政府の感染症対策分科会の尾身茂会長が理事長を務める、独立行政法人「地域医療機能推進機構(JCHO)」だ。全国に傘下の57病院が存在する。都内には・・・5つの傘下病院がある。5病院で計1532床ある。ところがコロナ患者用の病床はごくわずか。「週刊新潮」1月21日号によると、5病院でコロナ患者用病床は、たったの計84床。受け入れ患者数も同57人という少なさなのだ(いずれも1月6日時点)。
(1月17日ゲンダイ)

 

JCHOの系列病院は「民間」でカウントされているのか?
そこはちょっと分からない。
ただ、尾身氏が理事を務める系列で、ここまで患者数の受け入れが少ないのには、「なんだよそれ」という感想しか湧かない。
彼らは「仲間」の病院や医師をコロナ禍から守り、民間に医療崩壊のしわ寄せを押し付けようとしているのではないか。
考えてみれば、厚労省の医系技官と関係の深い医療政治家のような人たちが、官邸周りや政府中央でいろいろアドバイスをし、仲間に都合のいいようにコロナ対策を進めてきた節がある。
PCR検査抑制がそのいい例だ。

 

これは余談だが、尾身のJCHOと言えば、気になる記事がもう一つある。

 

新型コロナワクチン、3独法傘下病院で先行接種へ 厚労省打診
先行接種を打診されたのは国立病院機構のほか、地域医療機能推進機構(JCHO)、労働者健康安全機構(労災病院)の2機関。3機関は、国立病院機構140、JCHO57、労災病院32の計229の病院を傘下に持つ。
(2021年1月17日産経)

 

いやいやいや、医療従事者に優先的にワクチンを回すなら、「コロナ病棟に勤務する人」がどう考えても先だろう。
なんでここで、受け入れ数の少ないJCHOが出てくるのか。
尾身か?尾身なのか?

 

これらを見ていると、医者というよりは、医療政治家のような連中がコロナを取り巻き、都合よく我田引水に勤しんでいる姿が浮き上がってくる。

 

では、防護の心配もせずに、カネを回して民間病院を動員しろとスガ首相にアドバイスする大木隆生とはどういう考えの持ち主なのか。

 

2021年1月5日の日付が打ってある、彼の提言という文書の一部を紹介する。(リンク)←全文はこちらで

 

このブログをお読みの方に、これがどれほどトンデモであるか解説する必要はないだろう。
ちなみに去年の話ではない。
2021年1月の話だ。

 

そして怖くなるのはここからだ。
この医療政治家から小一時間に渡ってアドバイスを受けた菅首相はこう言ったというのだ。

 

『久しぶりに明るい話を聞いた』

 
楽観医師が、どんな説明をしたら「明るい話」になるのだろう。
「コロナはただのインフル」とでも言われたか?
2人を結び付けた人脈も、菅首相→和泉洋人補佐官→(コネクト)→大坪寛子審議官(慈恵医大出身)→大木氏 というラインが想定される。(あくまで想定)

 

コロナ禍に限らない話だが、安倍政権の時から日本政府というのはごくごく狭い人間関係によって運営されている傾向がある。
それを引きついだ菅政権でも、劣らず狭い限られた範囲の人間が招聘され、都合のいい意見だけを取り上げるという悪しき伝統が受け継がれている。
今後の日本政府のコロナ対策を想像するほどに、悪い予感ばかりがよぎる。

 

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