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医療崩壊をのん気に見守る厚労省と大臣

5月19日衆院厚労委、長妻昭議員の質疑から、関西地方の医療崩壊について。
あまりに答弁が酷かったので、記録に残す。

 

まずは実態把握から。
答弁するのは、猪原警察庁長官官房審議官。
質疑応答形式だと長くなるので事実関係のみまとめる。

 

警察への通報により不審死として警察が取り扱った事案で、死因がコロナウィルスと確定した人数。
2021年4月ーー全国64件
(PCR検査・生前実施26件/死後実施38件)
(大阪府31件/兵庫県17件/北海道4件/千葉県3件)

 

長妻氏「死後に陽性と分かったというのはどういうことなのか。尾身先生のお考えは?」
尾身氏「様々な理由があるだろう。医療にアクセスしなかったのか、できなかったのか、分からない。症状があったのか、なかったのか、それも分からない。これからどうするべきかというのは、全く症状がない人をひっかけるのは難しいが、多少でも具合の悪い人というのはPCR陽性率が高い。抗原キットもありますので、そういうのがますます重要になるかと。」

 

これは尾身氏の呆れた答弁。
検査数を大幅に増やせば、全く症状のない人でも何らかの機会で引っかかる可能性がある。
それにより、救える命が一つ増える可能性がある。
なぜ無症候者への検査をここに至っても認めないのだろう。
そしてなぜか抗原キット推しがくどい。

 

長妻氏「大阪がダントツに多いが。厚労省、自宅療養者の死亡例は何人ぐらいと把握しているか?」
田村大臣「5月10日、医療の管理下になく自宅または宿泊療養施設で亡くなった数は3月から5月で18名と府が公表している。」
長妻氏「警察では4月だけで31人あるんですね。これは警察の数字とどこまでだぶっているのか?分かりませんが、警察発表とずいぶん差がある。調査をして、二度と起こらないように、原因を解明して対策を講じるつもりはないか?」
田村大臣警察に確認はしてみます。府に聞かないと分からないとなると、現に大阪はそれに人手を省く状況にないので、若干落ち着いてからとなると思う。」
長妻氏「警察に聞いてみる?警察はすでに私たちの指示で厚労相に資料を渡しているんじゃないですか?」
猪原警察庁長官官房審議官「必要な情報は提供している。」
長妻氏「厚労省に提供してるんですよ。詳細データを。厚労省からも警察に問い合わせをしているらしい。これ、相当重く受け止めないと、現在進行形で進んでいるわけですから、教訓を得て早く状況を解明しないと、また5月(今月)にお亡くなりになってると思いますよ。今この質問中も亡くなっている。大臣、クビ傾げてますが、傾げてる場合じゃないですよ。・・・入院すれば助かった命がどんどん失われると。ちょっと大臣、話さないで。ちょっと大臣、今こっちが話してるんで。厚生労働省として、死後にコロナ陽性が出た、で、死因がコロナであったと、医療的ケアが受けられていないと、こういう方々の事例を一例でも把握されておられますか?」
田村大臣「検査の結果が出る前に亡くなられるケースも入っているのかも。それなら健康観察等々打つ手はあるが、委員の仰るケースは、本人も家族も陽性を全く気が付かない状態の人が搬送されて亡くなられたというケースを言っているのか・・・ではない?・・じゃ、どーゆー?」
長妻氏「よく聞いて。4月だけで死後に陽性が判明された方が38人おられた。いろんなケースがあると思いますよ。検査を受けられずに分からない、結果がまだ出ていなくて分からない、そもそも本人に全く自覚がなく検査をしていないケースもあるかもしれない。38名の資料を警察が持ってるわけですから。お医者さんが死因はコロナだと確定して診断を出しているわけですから、それを分析をしていただきたい。生き死に関わる重大なことですよ。」

 

のん気というかなんというか。
医療崩壊で医療に辿りつけずに亡くなっている方が続出している中で、厚労省がこんなにのんびりしているとは想像しなかった。
「落ち着いてからゆっくり改めて・・」って何言ってるのだ、このポンコツ大臣は。
そして、話の途中途中で、動画では姿は見えないが、首を傾げてみたり、質問そっちのけで官僚となにかやり取りをしているさまが窺える。
この大臣は、医療にたどり着けない国民が命を落としている実態を理解しているのだろうか?

 

長妻氏「大臣にもうひとつ。大阪では1.5万人の自宅療養者がいるという。その中で医師の管理下にある方、リモートでもなんでもいい、そういう人はそのうち何%くらいいるのか?」
田村大臣「5月12日時点で15031名自宅療養者がいると大阪府から報告を受けている。大阪府では定期的な健康観察、民間委託したりとか、往診訪問看護とかやっていると承知しているが、具体的にどういう頻度で対応しているのかまでは把握しておりません。

 

すごいよ、把握してないんだって。
しかし、この先の田村大臣の答弁がさらにヒドイ。

 

長妻氏「そんな認識でいいんですかね?(ここで長妻氏は医師から直接ヒアリングした自宅療養現場の過酷な事例を紹介する。)この医師が言うには、こういう方がまだたくさんおられるだろうと言っていた。1.5万人の半分くらいはケアを受けているのか?そこら辺はわからないんですか?
田村大臣「(自宅でのケアを)お願いはしているが、マスコミの報道を見ると、なかなか全員に対応しているわけではないようだ。これに関しては、大阪にしっかり確認したい。」
長妻氏「地方自治体任せ。自宅療養の1.5万人のうち、ケアが受けられている人と受けられていない人の比率はどのくらいなのか。その指標によっては国として乗り出すかどうか、これ、重要ですよ?1.5万人のうち、入院が必要な方が何人なのかもわからないわけでしょ?わっぱり分からないわけですよ。平時は地方自治体任せでもいいと思うが、緊急時に国が出張って行って、・・・いや、また首を傾げておられますけど、そういう平時のマインドじゃだめですよ。

 

おいおい、厚労大臣がテレビニュースで現場の実態を知っている状態なの?
そしていちいち「大阪府に確認」を連発するのも気になる。
大阪はどこも手一杯だ。
調査団を派遣するような、そういうプランも何もないのか?
大阪の自宅療養者1.5万人のうち、どれくらいが「必要な医療を受けられない」療養者なのか、その内訳すら知らない。
知ろうとしない。
それが分からなければ、次の波で再び医療崩壊が起きた時も、また段取りが組めないではないか。

 

この政府には、本当に「国民の命を守る」という意識がないのだ、と心の底から味わった質疑だった。

 

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