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さらに謎が深まる「アベノマスク」という公共事業

4月28日、衆院予算委の大串議員の質疑で、新たなるアベノマスク調達の背景が明らかになってきた。

 

大串議員「ユースビオに発注した布マスクは、枚数や単価は契約の関係上言えないということでしたが、3月24日に契約を結んで、3月中には納入してもらって、契約金額としては5.2億円であったということで間違いないですか?」
棚橋委員長「通告してますか?準備に時間かかりますか?では速記を止めてください。」

 

大臣も事務方も、ユースビオの話が出ることは事前承知していたはずなのに、受注額すら審議を止めないと答えられないという体たらく。
基本中の基本データなのに、こんな数字さえ諳んじていないことに驚く。
しかも、枚数や単価を明かせない公共調達なんてあっていいのか。
スガ官房長官が、「4社で90億円に収まった」というあの発言はなんだったのか?
ユースビオが加わったことで、すでに96億円を超えてしまった。
そこにまだ「横井定」という会社の発注分もある。
もうワケが分からない。

 

加藤大臣「3月16日に令和元年度の予備費で、5.2億円、緊急随契ということでした。」
大串議員「福島県福島市の会社で、輸出入を扱っている会社だそうですが、・・・本当ですか?」
加藤大臣「木質ペレットの輸出入の関係をやっていたと聞いております。」
大串議員「法人登記を見させていただきました。・・・3月における定款の事業では、マスクを作る、マスクを輸出入する、定款には一切ありません。それどころか、4月に入ってこの会社は定款届けの変更の届け出をしています。4月1日に変更がなされて、10日に登記がなされておりますが、追加された内容に、4月に入ってからですよ、不動産の売買と賃貸とともに、貿易、輸出入の代行業、仲介及びコンサルティングというのが入っている。3月中は輸出入の代行を行う定款になってなかった。それを知らないで契約したということですか?」

 

このユースビオという会社、過去にも短期間にヒラヒラとその事業内容を変えている。
それ自体は問題はないが、そのような企業がどういう経緯で、政府から特にマスクの調達の指名を受けることが出来たのか非常に疑問である。

 

加藤大臣「輸出入をするもう一つの会社と一緒になって、契約額が5.2億円と申し上げた。従って輸出入に関しては、その会社が担っていると聞いています。」
大串議員「もう一つの会社とは?初めて聞きました。」
加藤大臣「シマトレーディングという会社でありまして、ユースビオはマスクにおける布の調達、納品時期等の調整、シマトレーディングは輸出入の調整を担当していたと聞いている。」

 

また新しい会社が登場した。
報道によれば、

 

「シマトレーディング」は切り花などの輸入商社で、JNNの取材に対し、島正行社長は「ユースビオの社長は親戚で、マスクの輸入を手伝うよう頼まれた。3月27日から29日にかけてベトナムから成田にマスクが届き、通関手続きを行った。
(2020年4月28日TBS)

 

とのことだが、自力で輸入もままならない他業種の小規模事業者が、どうやって国の随意契約の指名を受けたのかという疑問は解消しない。

 

大串議員「なぜそういった会社に、布マスクの調達の業務が、しかも随意契約なのか。随契は、『この会社にやってくれ』と、政府の方からお願いして、急ぐから、ということなんです。その他の会社は、興和、伊藤忠、マツオカ、代表的な大手企業です。これ、いったいどういう経緯で、政府側から随契で納めてくれという対象になったんですか?」
加藤大臣「経産省が主体となって、政府によって広く声掛けをしたことに、答えていただいた事業者の1社ということです。」
大串議員「広く、ですか?私の地元には縫製工場たくさんあって、マスク製造も始めていますが、そのような声がかかったなんて話は聞いたことがありません。よほど定めをつけてこの企業(ユースビオ)を選ばないと、縫製工場を持っているわけでもないこの会社に行きつかない。なんか人的な関係、オトモダチであるとか、なにがしかの関係があって選んだんだと思います。随意契約ですからね。競争入札じゃないわけですから。政府の方が、ここだと決めて5億円の事業をお願いするわけですから、相当な説明責任を政府は求められると思いますが。」

 

面倒なので加藤大臣の答弁は書き起こさないが、大串議員が追及しているのは、政府がユースビオを、数多ある企業の中から特別に目星をつけて、名指しで事業を発注したその経緯を尋ねているにもかかわらず、加藤大臣の答えは、「ユースビオ調達分の不良品はない」という点を強調し、明らかに本質をはぐらかそうとしている。
そして、答弁中に何度も「経産省が主体」という言葉を挟み込んできたところも非常に気になる。
ユースビオを引っ張ってきた背景には、・・自分が管轄の厚労省ではなく、経産省がやっていることなんだ・・、と暗に訴えているようにも聞こえた。

 

この後、審議には安倍首相が答弁に立ち、聞かれてもいないことを延々としゃべり散らし時間を稼ぐ戦法に出た。
ダラダラと時間を稼ぐ答弁に、野党議員たちが抗議すると、棚橋委員長がその不規則発言を止め、存分までに安倍首相の意味のない答弁をしゃべり尽させる。
国会ウォッチャーにとって、棚橋委員長の悪夢、再び、である。
これはすでに衆議院予算委の典型的な風景となっている。
「桜を見る会」の国会追及と全く変わらない。
国会が存在する意味がなくなっていないか?

 

こんな風に、公的事業の調達の経緯・内容は国民に明かされず、国難と言える緊急時にあっても、政治家の知人や縁故者が優先される税金の使い方が疑われる与党の国家運営は、今も当たり前のように続いているのである。

 

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