今日はこんなニュースがあった。
経産大臣が、コンビニの業界の今後の営業改善方針に関してチェックをするようだ。
国がこのような口出しをすることに、まず大きな違和感を感じる。
この話はそもそも、24時間営業をめぐるフランチャイズオーナーとセブンイレブン本部との衝突が、発端となっている。
「一転、撤回」になった理由は、いろいろあると思うが、世の中の「それはひどい、あんまりだ!」という反応の影響が大きかったと思う。
この問題は、フランチャイズのオーナーは「事業主」であって、本部と労働契約をしているわけではないので、労働組合法上の労働者に当たらない、として労基法が全く適用されないことに、大きな穴がある。
圧倒的に立場の弱いオーナーと、上納金と商品売り上げさえ確保されれば、オーナーの生活など知ったこっちゃない本部との、支配関係が招いた結果だ。
そして、世耕大臣はこのように述べる。
「オーナーと共存共栄?」
厚生労働省の外局でもある「中央労働委員会」が、「団体交渉権を認めない」
と血も涙もない決定を下しておいて、「共存」とはなんぞ。
政府の言う「共存」とは、「コンビニ本部が最大限の利益を出しつつ、オーナーを倒れる寸前まで働かせるデッドライン」を見出すことのように聞こえる。
「共存」というなら、オーナーたちに団体交渉権を与え、同等の立場で本部と交渉できるようにするのが、本来のあるべき形ではないのか。
さらに、
これはつまり、政府が企業に対して、経営刷新のプレゼンをしろ、ということだ。
もう、意味が分からない。
さらに、「支援が必要か検討」とは、何の話か?
まさか公的資金?
オーナーの人権を認める人道的な経営をしたら、コンビニ本部は傾くかもしれない、という話なのか?
もしそうなら、そもそも「コンビニ」という事業は、オワコンという話になってしまうのだが。
このコンビニ業界の騒動には、日本の産業が衰退する理由が、よく映し出されていると思う。
国頼みの大企業が増え、政府に取り入り、生き残らせてもらうことに血道を上げる。
そんなことばかりに努力をしているので、変化する世界の潮流にも追いつかず、労働者を効率的に使うこともできず、やっていることが相変わらず平成初期のころと変わらない。
だいたい、官庁なんてところに所属する人たちには、「効率」「利益」なんて無縁なのだ。
そういう人たちのアドバイスで商売をして、うまくいくはずないではないか。
たしかに、法整備や規制で優遇されれば、一時は儲けになるが、それは企業としての成長ではないし、海外では通用しない。
こういう企業と国の不自然な関係を見せつけられるほどに、日本の衰退を実感せざるを得ない。
本当に悲しいことだ。