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特措法改正、与党の卑怯な国会運営

新型コロナ対策の特措法改正案が間もなく可決されようとしている。
菅政権が国会を閉じていたために、1月18日召集の通常国会で、大慌てで審議されなければいけない羽目になったわけだが、しかしその過程には非常に問題が多い。
うち最大の問題は、特措法改正に当たり付加される罰則規定に関して、総理をはじめ担当の厚労大臣が国会でウソとも取れるいい加減な答弁、厚労省が事前に審議した専門家会議で指摘された問題点を隠ぺいしていたことだ。

 

少し時を戻して、1月25日、衆・予算委から小川淳也議員の質疑をチェックしてみよう。

 

〇小川淳也議員「いま不安で、自宅待機している人がたくさんいる、自宅で亡くなる方も多発している、そういう中でこの懲役刑を議論すること自体が、笑えない、皮肉にもほどがある。」
〇菅首相「患者が無断で医療機関から抜け出したという事案もあります。全国知事会からも罰則の創設を求める緊急提言を頂いてます。」

 

同日の後藤祐一議員の質疑では、田村厚労相も「これはまさに知事会から強い要望があったわけでありまして」と答弁している。

 

この時点では、実は罰則規定は「刑事罰」込みとして審議されていた。
その後、刑事罰は与党によって引っ込められたのだが、審議時点ではあたかも「知事会が刑事罰を望んでいる」かのように語られていた。
後日、マスコミの検証により、刑事罰まで望んでいる知事はいなかったことが明らかになった。

 

さて、後藤氏の同じ質疑には、こんなやりとりもあった。

 

〇後藤議員「専門家はどんな意見だったんですか?これに付いて1月15日の厚生科学審議会感染症部会で議論されてますよね。議事録を公開するよう求めているが出てこない。出してください。どんな意見があったんですか?」
〇田村厚労相「現在作成中です。」
〇後藤議員「1月15日ですよ。(この質疑は25日)これだけ審議になってるのに遅すぎでしょ。例えばどんな意見があったんですか?慎重意見はなかったんですか?」
〇田村厚労相「両方意見はありましたが、概ね賛成という形でありました。

 

そして、その3日後、1月28日に審議は参・予算委に移り、小池晃議員からとんでもない話が出た。

 

小池晃議員「1月15日の厚生科学審議会・感染症部会の議事録が昨日、厚労省のHPにアップされました。立憲民主党が資料要求していたものだが、連絡もなくアップされてる。それにたまたま気が付いた。」

 

小池氏は、この日の午前中、たまたまHPにアップされていた議事録に気付き、その中身に驚き、わざわざこの日に予定した質疑内容を変更したというのだ。
さらに続く。

 

〇小池晃議員「見て驚きました、出席した18名の委員のうち、罰則に賛成しているのは3名だけ、慎重意見が3名そして8名の方は反対、或いは懸念を表明している。法案について意見を求めた部会ですよ。その多数の反対意見を踏みにじって法案を出してきた。先ほど西村大臣は、『法案はよく専門家の意見を聞いて確認した』とか言ってるけど、とんでもない話だ。」

 

議事録の中では、保健所所長や大学教授、病院の医師等から具体的に罰則法案を懸念する意見が出ていたが、それは国会で示されないように、しかし露骨な隠ぺいではない方法で、公開をズルズルと先延ばしにした上で、審議が参議院に入ってから開示を求めていた者にも報告もしない形でしれっとHPに載せたのだ。
これが偶然にも共産党の目に留まったからいいものの、気が付かなければそれをいいことに審議が終了してから、
「公開してますが、なにか?」
とでも言うつもりだったのだろうか?

 

1月31日、NHKの番組日曜討論の中で、自民党の下村博文氏と日本共産党の田村智子氏の間で、こんなやり取りがあった。

 

〇下村氏「知事会からの強い要請があったわけですが、例えば時間短縮要請をお願いしてもですね、守って頂けるところがほとんどですが、しかし守らないところがある。そのことによって実際に感染が拡大してしまったり、守らない方が得だみたいな社会はやっぱり不味いということで、ぜひ罰則規定も設けてほしいと要請がありました。」
〇田村「今、知事会からの要請ということでしたけど、27日に公開された厚生科学審議会・感染症部会の議事録1月15日に行われたものですけど、この中では保健所の現場から、『保健所の方では、特に知事とコミュニケーションを取ってそのような要望を上げてくれと言ったようなことにはなっていない。』と。全国保健所長会も懸念を示す意見書を提出しているわけですよね。本当の現場のところからの声に応えるものではないと思いますよ。例えば積極的疫学調査の拒否、協力しない、これが正当な理由(であるかどうか)の判断、これを保健所に任されたら、患者さんとの信頼関係にヒビが入ってしまって、むしろ聞き取りを困難にしてしまうのではないか、とかですね、入院が出来ないっていう場合にもさまざまな事情があるのを、聞き取りながら解決をしてきた。これをですね、罰則で脅すようなやり方っていうのは、これはいかがなものかっていうのが現場の声じゃないかと。」

 

『法律を守らない方が得だ、みたいな社会。』
いやこれ、まるで安倍政権以来の自民党を体現しているではないか。
そう言えば、下村氏にはまだ国民に説明していない「加計献金」の疑惑もある。
よくも同じ口からこんなことが言えたものだ。

 

 

そしてこれが、田村智子氏に畳みかけられ不貞腐れた下村の図である。
ルールを守らない方が得だ、と思っている自民党が、国民にはルールを守れと罰則を作る。
どこまで好き勝手が通用すると思っているのだろう。
桜を見る会のウソツキ答弁が話題になったが、あれはあくまで安倍氏が自分の不祥事を隠すためだった。
しかし、そういう国会のウソを大目に見て来た国民に、こうして国会で適当なことを言って罰則法案を作ろうとするまでに、自民党を増長させてしまったことに国民が払うツケは大きい。

 

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