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「米国、イランの司令官らを殺害」と自衛隊派遣をしながらほぼ関心のない日本

新年早々、松も取れぬうちから、とんでもないことが起きた。

 

米がイラン精鋭部隊の司令官を殺害 イラクの国際空港を空爆
米国防総省は2日夜、トランプ大統領の指示を受け、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。国営イラン放送も、イラクの首都バグダッドの国際空港で米国のヘリコプター攻撃により殺害されたと確認。イラン側の報復は必至で、中東情勢がさらに緊迫化する恐れがある。
(2020年1月3日毎日新聞)

 

米国防総省が「海外の米国人を守るための断固とした防衛措置」を行ったと発表した。
(2020年1月3日朝日新聞)

 

この理由も、典型的な意味が分からないもので、どこのどんな米国人なのかはっきりしない。
要するに、戦争をやりたい連中が使う常とう句に過ぎない。
まぁ、事実上、米国がイランに宣戦布告をしたと言っても過言でない状況だ。

 

ソレイマニ司令官は、イランの最高指導者ハメネイ師に近い要人。イラン側は激しく反発し、米国への報復を予告した。両国間の緊張は一気に高まり、直接の軍事衝突にも発展しかねない情勢だ。
(2020年1月3日朝日新聞)

 

このソレイマニ司令官、イランでは英雄と称される人物だそうで、またハメネイ師に近いとも言われている。
イランがなんらかの報復を仕掛けるだろうことは、想像に難くない。

 

これを受けて、イギリスのラーブ外相、フランスのドモンシャラン欧州問題担当相、ドイツ政府報道官といった、英独仏の主要三カ国は一様に「やめなはれ」「落ち着きなはれ」といった意味の声明を発表し、二国の衝突から一線を引いている。

 

しかし、自衛隊をかの地に送っている当事者である日本政府の声明のようなものは一切出ていない。
なんと不思議な話。
本邦で、これについてすぐに声明を発表したのは、日本共産党の志位委員長だけだ。
自衛隊を派遣している以上、地球の反対側で起きた他人事の事件では済まないのに。
何してんだよ、みんな。

 

ちなみにドイツは、ホルムズ海峡の有志連合について、ハイコ外務大臣が、2019年8月に、「やりません」とはっきり表明している。
ドイツは派兵もしていないし、有志連合に賛同する意思もないことを発表済みだが、それでも勃発したこの衝突に対して、政府としてきちんと声明を出している。

 

一方、日本政府は何事もなかったかのようにスルーである。
そして日本でのニュースとしての扱いも小さすぎる。
ネットニュースの国際面を見ても、多くの人に関心があるのはゴーン氏海外逃亡の話ばかりだ。
この件に関心を持っているのは、米国株や日経平均、為替・原油レートが大きく変動することを気にしている投資関係者にすぎない。

 

ホルムズ海峡への自衛隊派遣は、その決定方法にも大きな問題があった。
2019年12月に、国会が閉幕するのを待って、閣議決定で派遣が決まったのだ。
「国会が閉幕するのを待って」とは、つまりこれに関する議論を、与党が避けたのだ。
「与党」とは、自民党ばかりではない。
「平和」を掲げる公明党も、含まれている。
なーにが、ブレーキ役だ。
公明党は、自民党の立派な「お手伝い政党」だ。

 

閣議決定で自衛隊派遣を決定するとは、つまり、「昭恵夫人は私人である」とか「反社会的勢力の定義は困難」といったクソ決定と同じステージで決められたということだ。
こんな決定で派遣される方も堪らない。
派遣理由も、「調査・研究」という、曖昧なよく分からないものだ。
捕鯨じゃあるまいし、戦争になりうる地域に、こんな曖昧な理由で装備もなく近づき、万が一巻き込まれた時はどう対処するつもりなのか。
そうした「議論」を避けるために、国会終了後に閣議決定するという、「国会無視」を自民党と公明党は実行したわけだ。

 

そして、予想にたがわず、「米国の攻撃」で衝突が始まったこの状況に、安倍首相の心持はどんなふうであるのか。
1月3日、首相動静を追ってみた。

午前11時32分から午後0時まで、同ホテル内の日本料理店「旬房」で昭恵夫人と昼食。
午後0時29分、同ホテル発。同34分、東京・六本木の映画館「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」着。昭恵夫人と映画「決算!忠臣蔵」を鑑賞。
午後3時2分、報道各社のインタビュー。「映画はどうだったか」に「大変楽しく見させてもらいました」。同3分、同所発。同6分、同ホテル着。同45分、同ホテル発。
午後4時7分、東京・富ケ谷の私邸着。
(2020年01月03日時事)

 

のんきなものである。
また、注目しておきたいのは、報道各社のインタビュー。
これは、明らかに米国の攻撃に関して世界的に報道された後の時間だと思うのだが、記者たちの質問にのけぞる。

 

「映画はどうだったか」

 

・・って、アンタたち、バカなの??
イランのことを聞きなさいよ。
閣議決定で、自衛隊派遣をしたばかりなのだから!

 

去年から、何かが起こりそう(悪い意味で)と思っていた2020年だが、早速中東の緊迫が高まる大事件が勃発した。

 

少なくとも、日本人がここまで中東に興味がないのなら、自衛隊派遣なんかしてはいけない。
百歩譲って仮に派遣するなら、最低でも日本中の人が、この件でテレビにかじりついてニュースの行方を見守るくらいの関心がなければ、それについて議論する余地すらないと思う。

 

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