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新聞発行部数が年222万部も減少した原因は本当に「ネット」だけなのか?

2018年の日本の新聞発行部数が、2017年と比べて、222万部も減少したそうだ。

日本新聞協会の「新聞の発行部数と世帯数の推移

という資料をみると、2008年ごろからほぼ毎年約100万部を減らし、直近の2017年から2018年では、一気に倍の200万部以上が減少したのだから、業界の人も驚いたことだろう。

なぜ新聞が売れなくなったのか

なにせ部数減少が始まってから、もう10年以上になるので、この議論はすでにいろいろなところでされている。
中でも最もポピュラーな理由が、インターネットやスマホの発達である。
ネットの影響で新聞が発行部数を落としていることは、日本に限ったことではなく、世界中で共通して起きている。

この影響は大きいとは思うが、原因としてはあまりにもメジャーなので割愛して、
ここでは、特に日本で考えられる独特の理由を考えてみようと思う。

可処分所得の減少

これはネットに次ぐ大きな理由のように思える。
新聞を購読する経済的余裕がない人が増えているということだ。

低収入層が増え、年金も先細りの世情で、節約は多くの人の共通テーマだ。
そのために、「切り落としてもあまり生活に影響がない物」はなにか?と考えたとき、多くの人が「新聞」を上位ランキングに入れるだろう。

2019年になって、読売新聞が購読料の値上げをした。
そのお値段、朝・夕刊セットで4400円だ。
いずれ他社も後を追うだろう。
これはバカにならない。

昔よくいた、「テレビ欄しか見ない系」「三面記事しか読まない系」の人に、毎月4000円以上は結構な負担だ。
前者はテレビのデータ欄で見ることができるし、後者はテレビの情報番組やニュースで知ることができる。

政治欄の質の問題

「いやいや、私は新聞で政治の情報を知りたいのだ」

昨今は減りつつあるだろうが、もちろんこういう人もいるだろう。

大手新聞各社は、政治面で購読料に見合う十分に質の良い情報を提供していると、自信をもって言えるだろうか?

そこに疑念が出るような、「疑わしい」動きが新聞社にはある。

ひとつは「消費税の軽減税率」だ。

2019年10月に予定されている消費増税だが、新聞には「軽減税率」が適用される。
「知る権利」を守るためだそうだ。

・・・あんまり守られている気がしないことの方が多いけど

食べ物を中心とした生活必需品が項目に挙げられる中で、「新聞」がちゃっかり入っていることには違和感を感じる。
これで新聞業界が、政府から「借りを作った」立場になっていることが懸念される。

「借りを作った」と言えば、こんなのもある。

 

学校図書館の新聞購入費 地財措置 17年度から30億円に倍増
2017年度からの5年間、公立校の図書館の新聞購入費として年間約30億円を自治体に交付する方針

税金でドーンと新聞を契約して、全国の小中高校に配りましょう、というのだから、
発行部数減に悩む新聞社は泣いて喜んだろう。

私は全国の学校に新聞を設置すること自体には反対ではないのだが、それが昔から行われていたことではなくて、発行部数が減少してから、「救済措置」のようなタイミングで導入されたことが引っかかって仕方がない。

話が出てきたのもわりと唐突で、「新聞社に恩を売った」感がどうしても拭いきれないニュースだった。

でも、極めつけはこれだろうか。

首相動静(1月25日)

午後3時4分から同33分まで、新聞・通信各社の論説委員らと懇談。
午後3時34分から同55分まで、在京民放各社の解説委員らと懇談。
午後3時56分から同4時17分まで、内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。

直近の話だ。
厚労省の勤労統計不正問題で、日本中が大騒ぎのなか、
安倍首相が、ガッカリだった日ロ首脳会談から帰国した翌日のことである。

新聞ばかりではないが、マスコミさん勢ぞろいで、いったいなんのお話を承ったのだろう。
あまり追求しないようにお手柔らかに」と饗宴でもてなされたのだろうか。

新聞がネットに食われるという本当の意味

個々の記者をみれば、権力の監視役という使命に燃えたジャーナリストも少なからずいるのは知っている。
ただ、そのために毎月4000円を払って、「お手柔らかに」仕上げた記事と抱き合わせで買わされるのでは、消費者にとってもたまらない。

新聞がネットに食われるということは、

ネット上の、新聞に替わる読み物でことが足りる、という意味ではない。

と、私は考える。

ネットには、生のニュースソースがたくさんあるのだ。
各省庁の発表事項、議事録、予算、資料もあるし、動画コンテンツでは、国会中継はもちろん、毎日の官房長官定例会見など、個人で取りに行けば手の届くソースがたくさんある。
すべて無料だが、ダイジェストではないので、核心部分にたどり着くのに長い時間を要する

SNSには、個人的な時間を割いて、こうしたソースと向き合い分析し、発信している人がたくさんいる。
もちろんみなさん、無償だ。

ツイッターで国会を書き起こしている人、毎日淡々と「首相動静」欄をチェックし、面会相手から今後の政府の動向について分析する人、本当に奇特な人がネットには多い。
みんな世の中をなんとかしたいという思いから、得意分野を生かす形で貢献している。

新聞の質が下がれば相手にされなくなるというのは、「無料のネット新聞」に取って代わられるということではなくて、こういう人たちの水準にも満たない「プロ」が淘汰されていく、ということではないだろうか。

しかしやはり「思い」を言えば、こういうことを信頼して任せられる「新聞」という組織が、社会できちんと機能してくれることが最も望ましい。
自分でソースを確認するのは、想像以上に面倒な仕事なので・・・。

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