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検査体制、医療体制が進まない事情

8月19日の参・内閣委員会、今の状況を把握するために重要な審議があったので書き留めておきたい。

 

 

図はNHKから引用した8月19日の感染状況だ。
まだピークを目指して上昇中と思われる。
この破局的な感染爆発の中、現政権、日本政府はどこを見て、なにをしているのか、していないのかということがよくわかる質疑が共産党・田村智子議員からあった。

 

田村智子「東京都は医療非常事態宣言をしている。すでに救える命が救えなくなっている。このもとでパラリンピックを開催するのか?」
丸川「あんぜん・あんしんな東京大会の実現に向けて、地域医療に支障を生じさせずに必要な医療確保を念頭に置きつつ、これまでも関係者と調整を進めてきた。
医師は120人程度、看護師は150人程度を想定しているが、現下の感染状況を考慮しつつ組織委において最終的な調査映画されていると承知している。」
田村智子医師120人、看護師150人、これだけいたらどれだけの命が救えるのか。

 

ここ数日だけでも、自宅待機中に重篤化し命を落とす人、家族全員感染し母親が命を落とす例、感染した妊婦の受け入れが見つからず自宅で出産した嬰児が死亡する例、こんなことが相次いでいる。
菅首相が得意に打ち出している「酸素ステーション」、焼け石に水としかならないようなこういう対策でさえ、施設に駐在する医療従事者を揃えるのに現場は苦労している。
そんな時に、都内で数百人の医療人材をパラリンピックに徴用することが、「地域に影響がない」と本当に言い切れるのか。

 

田村智子「選手とコーチだけで1万人が海外からくる。関係者が1万2千人、国内ではボランティアだけで2万4千人、これらの人は普段合わない人と会い、多くの人と接触する。人との接触5割減、県境を越える移動をしないでと発信しながら、パラリンピックは別だ、気を付ければできるという、これか、統一性のないメッセージそのものなのだ。」

 

正論すぎる。

 

田村智子「オリンピックの時よりも状況はさらに悪化している。パラリンピックはできるのか、対策本部や関係閣僚会議で検討すべきではないのか。」

 

このシンプルな質問に対して西村大臣が発したあまりにも無能な答弁をご査収ください。

 

西村大臣「開催期間中の人流を下げるということで、首都高の千円値上げを継続する。自宅でテレビを見る。家族あるいは普段いる親しい仲間と少人数で感動を分かち合っていただく。その感動で、外で打ち上げをしようみたいなことは控えていただいくようお願いしている。いずれにしても、こういうことをさまざま議論をし、最終的にはIPCが様々な対策を決めていると承知している。」

 

どうでしょう?
聞いてて脱力するくらいバカでしょう。
これが、感染爆発の起きている日本でとられている政府の「感染対策」の方針なのだ。

 

田村智子「墨田区保健所は今年春の大阪の医療崩壊と抗体カクテル療法が承認されるという動きを見てすぐに、軽症者治療の病床を確保し。いち早く治療につなげている。地域の医療資源をどうやって生かすのか、早くから医師会との連携も強めて医療機能の分担を保健所が核となって構築している。PCR検査も保健所で行えるようにし、民間検査機関も区内に誘致して体制を作った。『資源にニーズを合わせるのではなく、ニーズに資源を合わせるのだ』と保健所長さんは取材に答えている。」

 

墨田区の取り組みは改めてすごい。
東京23区の中で群を抜いて優秀さが極まる。
墨田区保健所長である西塚至氏の逸話に関しては、この名前をネット検索すればたくさんヒットするので参照していただきたい。

 

田村智子「かたや田村厚労大臣は5日の厚労委で『医療資源には限界があるんです』と開き直ったわけですよ。しかもオリンピックに医師・看護師を派遣しながら!発症している患者を自宅に置き去りにしない、特に入院できていない中等症患者に酸素吸入だけでなくて、臨時の医療施設を確保して、医師・看護師の管理下に置く!医療を提供する!パラリンピックじゃなくてそっちに医師・看護師を置く!!!これが原則だということを政府は方針として示すべきだ。」

 

後半、感情をあらわに訴える田村智子氏。

 

田村智子「ワクチン接種と比べて、療養施設でコロナ対応をする看護師の処遇に大きく差がある。看護師派遣会社の求人を検索すると宿泊療養施設では、例えば新宿区内、時給2200円で募集されてます。埼玉県熊谷市では2500円、ワクチン接種の方を見てみると、同じ埼玉県内で、3千円、4千円、こういう求人です。ワクチン接種補助の国の補助金は手厚い、一方療養施設については、新型コロナウィルス重症患者を診療する医療従事者車検体制の確保事業を参考にするように、との事務連絡が出されている。で、その上限というのは2760円なのだ。これ、コロナに対応する看護師の時給なんですよ。引き上げるための方策、講ずるべきだとは思いませんか?」
厚労省「都道府県と連携しながら、必要な人材確保に努めていきたい。」

 

政府の方針というのは予算に現れる。
ワクチン接種率を支持率と連結して考えている菅政権にとって、ワクチン接種事業はコロナ患者治療より優先されるべきものなのだ。
これでは治療現場の医療従事者が十分に確保されるはずもない。

 

そして最後は検査について。
18日の国会で尾身会長は、検査が増えないことの要因の一つとして、「無症状者が積極的に検査を受けようとしない」と答弁した。
本当にそうなのか?
これがどれだけひどい発言なのかということは、この後の田村議員の質疑で明らかになる。

 

田村智子「検査陽性者を確認した際には、医師や健康管理者は保健所の判断がなくても、さらに濃厚接触の可能性があるものに検査を促すことができる、とある。しかし、同居家族でさえ保健所から連絡がなく、自ら医療機関で検査を受けたら自費検査になったと。いまだにこんな事例を相次いで聞くわけです。濃厚接触者、それに準ずる接触者と思われる場合、医師の判断で保健所機関で検査ができるはずです。だけど『保健所の判断がないから自費扱い』、この背景には、審査支払機関が医学的妥当性に関して厳しく査定して、返戻(へんれい)、差し戻しをやっている。例えばクラスターが発生した老健施設、院内感染を収束させるために、感染の可能性があるものに複数回広く検査した、ところが!検査した医療機関が保険請求すると検査支払機関から『全件』差し戻された。全部について医学的判断を書けと言われた。こんな事例がいくつも私のところに来ている。保険請求が認められなければ、1件で1万数千円、すべて医療機関が持ち出しになってしまう。これが何件もあれば経営が圧迫される。保健所が判断していない場合、慎重な対応にならざるを得ないということが生じている。こんなことやってる場合じゃないんです。『査定はしない』と明言していただきたい。」

 

小鑓政務官「柔軟な対応を要請しているところ。『なるべく』検査をするよう改めて周知を図っている。」

 

見事に明言せず。
代わりに、なるべく・・、だと。
笑うしかない。
保険請求できるかできないかは、医師としても死活問題だ。
「査定はしない」の一言が出なかったということは、この査定は引き続き行われるのだろう。
そして、今後も保険適用の事情による「医師の検査忌避」はなくならないだろうと思う。
それにより無症候者の検査は増えず、そうした人からさらに次の人への感染に結びつくことになる。
8月19日、日本の統計はすでに検査が飽和しており、実態が見えない状況になっている。
この感染拡大は、何もしない手ぶら戦法の日本政府のもとで、まだ収まりそうもない。

 

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