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アドレスホッパーは、若者の地方移住に一役買うのでは

今回は、コアな政治から離れてこんな話題を。

最近、「アドレスホッパー」という言葉を、ネットでよく見るようになった。
あなたは聞いたことがあるだろうか?

アドレスホッパーとは?

その名の通り、アドレス(住所)を定めず、ピョコピョコと移り住む、定住しないスタイルで生活している人を指す。

その背景の一つは、自由に旅する外国人旅行者が増えたことで、昔ながらの「ドヤ」ではない簡易宿泊所がふえたことや、インターネットで手軽に家具付きの部屋が短期間手配できるネットサービスの登場などで、その日の「寝床」を調達する方法が、圧倒的に便利になったことがある。
また、オンラインで仕事を受注し、パソコン上でそれをこなして賃金を得たり、場合によっては、オンライン上で事業そのものを展開する社長業もアリなので、収入を得るうえで、必ずしも「定住」が必要ではなくなったことも大きい。

こういう社会の変化も手伝って、一定数の若者が自由な暮らしを求めて「アドレスホッパー」になっているという。

「そういう若者が増えている」とテレビ番組などでも取り上げられ、一般的な中高年層には、「へえ~」と驚かれているようだが、実は私には、これがそれほど「新しいこと」には映らない。

似たような人は、90年代にもたくさんいた

意外に思われる方も多いかもしれない。

90年代、私は会社員だったが、まとまった休みを取りやすい業界だったので、2週間ほどの休暇を取って、一人で外国を旅するのが趣味だった。
いわゆるバックパッカーである。
時代的には、「猿岩石」がブレイクするより少し前の話だ。
旅を重ねるごとに、あまり観光客が来ないような、レアでかつ歴史のある土地を求めるようになった。
しかし、旅行先としてかなりマイナーな土地に踏み込んでも、そこにはいつも「日本人」が最低1人はいた。
「世界中、どこに行っても必ずいるのが、日本人とドイツ人」などと、当時は面白がっていう人も多かった。

休暇中の会社員もいれば、学生も多かったが、意外に根強かったのが、先に述べた「アドレスホッパー」的な人たちだ。
彼らは、非正規の仕事を3か月から半年ほどガッツリこなした後、何か月にもわたって外国を放浪するという生活を、繰り返していた。

まだインターネットも携帯も普及しておらず、多くの人がポケベルを使っていた時代だ。
当時は、旅行の軍資金を稼ぐには、一時的に帰国する必要があった。
その頃は、「短期だからこそガッツリ稼げる」というアルバイトが多かったことと、アジアの途上国の通貨が日本円に比べて安かったことも相まって、こうした日本人の若者はアジアの奥地に行くと、わりとゴロゴロいた。

ただ、そうした生活スタイルを、今のようにネットですぐさま発信できなかったので、一部の文才のある人が、そういう生活を面白おかしく記録にして出版でもしなければ、なかなか同世代やそれ以上の人たちに知られることはなかった。
ゆえに、それに触発されて後を追う人も、今より少なかったに違いない。

「脱定住」?「新人類」?「メリット、デメリットは?」

こういう見出しで「アドレスホッパー」を扱うネット記事がとても多い。
個人的には、「観点が全然違う」と言いたい。
はっきり言って、「目指す」ような生活スタイルではないし、なにかこれまでの常識を否定して「脱」した結果でもないと思う。

若い人が、いろいろ好きなように、思うようにやってみたら、こうなっちゃった、ということに過ぎないと思う。

「結婚は?」「子どもが生まれたらどうするの?」
とか、余計な疑問を掲げて批判する人もいるが、生涯この生活スタイルを貫く人はほとんどいないはずだ。
要らぬお世話だと思う。

放浪者には意外に「さびしんぼう」が多い

これも結構意外に思われる方が多いだろう。

1人で旅する人は、思うほど一匹狼ではない。
だから、日中は一人で観光しても、夜にはバックパッカーの宿などで、同じく一人の旅行者と食事をしたり飲みに行ったりすることが多い。
アドレスホッパーと言われる人たちが、簡易宿泊所などで同じような相手と交流したり、時には仕事の話をしてオファーの情報を交換したりするというのは、とても理解できるし、自然だと思う。
ちょうど、バックパッカーの国内版を想像すると、彼らのイメージとぴったり合う。

仕事の話もあれば、過ごすのにおすすめな地方の情報なんかもあるだろう。
こういう若者が、日本中を旅しながら「ここでなら一生過ごすのに悪くない」という自分に合った土地をみつけ、定住したなら、若者の地方移住にもなる。
しかも、かなり満足度の高い形でだ。

そう考えると、一見フラフラしているように見えるこういう人たちが、国内に一定数いるのは悪くないと思う。

そうかと言って、「新しい自由のカタチ」とか「脱定住」などと煽って推奨するのもどうかと思う。

そういう若者って、いつの時代にもいるんだよ。
くらいの扱いでいい、と私は思う。

 

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