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世界はドン引き間違いなし。国連に「原発推進」の戦略案提出

「本気ですか?」と、問いかけたくなる見出しをネット記事で見かけた。

政府、国連に「原発推進」の戦略案提出へ・温暖化対策で(2019年4月20日朝日新聞)

深刻な原発事故を起こし、その後始末もできずに「ミナイフリ」をしている日本が、世界に向けて「原発推進」の旗を掲げようというのだ。
空気が読めないにもほどがある。

少し記事を読み進めてみよう。

地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に基づき、政府が国連に提出する長期戦略案が19日わかった。焦点の一つである原発は「実用段階にある脱炭素化の選択肢」とし、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとの目標を掲げた。政府の有識者懇談会の提言より、原発推進に前のめりな姿勢を鮮明にした。

出たぞ、政府の有識者懇談会。
日本政府が「第三者」とか「有識者」とか名付けて、財界人や学会人を集めた場合、
「ここを落としどころにしてほしい」、
という強い意志が常に政府側にある。

この有識者懇談会の正式名称は、
パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会》、
長い。
内閣総理大臣によって招集され、座長が総理によって指名されたことからも分かるように、
この懇談会の存在には何の意味もなく、いっそのこと、安倍首相が自分で思うように宣言したほうが、経費も時間もかからなくていいんじゃないの?とすら思う。

メンバーは以下のようになっている。
ある程度の想像はついているが、今後の参考のために控えておこう。
(ドキュメントはこちらから。環境省資料PDF

(座長)北岡伸一、東京大学名誉教授、独立行政法人国際協力機構理事長
内山田竹志、トヨタ代表取締役会長
枝廣淳子、大学院大学至善館教授、有限会社イーズ代表取締役
進藤孝生、新日鉄住金株式会社代表取締役社長
隅修三、東京海上ホールディングス株式会社取締役会長
高村ゆかり、名古屋大学大学院環境学研究科教授
中西宏明、経団連会長
水野弘道、国連責任投資原則協会理事、年金積立金管理運用独立行政法人理事兼CIO
森雅志、富山市長
安井至、東京大学名誉教授、元国連大学副学長、一般財団法人持続性推進機構理事長

座長の北岡氏は、もはや言うまでもない。
安保改正や戦後70年談話の懇談会でも「有識者」を演じた、安倍政権ではおなじみの人である。
原発メーカーである日立製作所会長の中西氏が入り込んでいるというのも、あまりにも遠慮がない。

現時点での、懇談会の最終会合は4月2日。
その時に発表された「提言」では、
「安全性確保を大前提とした原子力の活用について議論が必要」と、
やや控えめだったのが、19日には、
《原発は「実用段階にある脱炭素化の選択肢」とし、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとの目標》
と、露骨に原発開発を謳うまでに踏み込んだ形となった。

ひょっとしてこれは、選挙が近いから、原発界隈の有権者を対象にしたサービスなのだろうか?

こんなバカげた提案を、事故を起こした日本が世界に向けて提言して、しかも「世界をけん引」する気になっているというのは、気がヘンとしか思えない。

日立も東芝も、気がヘンとしか思えないような政府の方針に、これまで諾々と従い、挙句に海外事業に失敗して、結局は大損したことを忘れたのか?
官僚には「利益を出す」という発想がもともとない。
大企業がそんな人たちの言いなりになって、巨額な公費だけを目当てに企業活動しても、日本の産業成長には全くならない。
それどころか、すでに違う産業にシフトしている世界からどんどん後れを取り、取り返しがつかなくなる。

いつまで日本は、こういう経済の悪循環を続けるのだろうか。

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