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デフレは人の心を荒ませるのか

2018年から、個人にアパートを建てさせ、一括借り上げ、家賃保証をする「サブリース契約」というシステムが問題になっている。
もちろん、サブリース自体は違法でもないし、それで利益が成立する物件もあるにはある。
しかし今、問題になっているのは、ローンを組みアパートを買わされた個人大家が、家賃収入の減少から、資金繰りに行き詰まるケースが続出していることだ。

そこには、大手が掲げる看板を信じてしまう人の性と、大手がその看板を汚すことを厭わなくなった、二つの相乗効果があるのではないだろうか。

レオパレスに引っかかった人は、「有名女優を起用してテレビでバンバンCMを流している上場企業が、自分のような小さな個人を陥れることはないだろう」と、その看板の大きさと知名度を信じた点があったと思う。

シェアハウス「かぼちゃの馬車」に騙された人は、「かぼちゃ」は新興の比較的小さな企業だったが、ローン契約が欲しいスルガ銀行がタッグを組んで、「銀行」という看板を武器に、一緒になって物件を勧めていたことが高確率で疑われる。

自ら汚すはずのない「看板」を持ったはずの企業が、「これは絶対儲かる」と、客を説得にかかる。
見知らぬ投資会社の飛び込み営業マンならいざ知らず、銀行員に「損をすることはありませんよ」と言われて、疑いを持てるのは、相当しっかりした人だ。

こうした物件をつかまされてしまった人を、「愚かだ」と簡単に言い捨てられるだろうか。

世の中がおだやかな時は、人は看板の価値や世間での風聞を大事にするけれど、行き詰まってくると、そんなものにかまっていられなくなる。

大企業のデータ不正が次々に明るみに出ているのは、そういうことではないだろうか。

政府や行政だってそうだ。
世の中が行き詰まってくると、組織を構成している人々は、遠慮がなくなってくる。
自分を守る、組織を守ることで精一杯になるからだ。
そして、不正をしてでも、無茶ブリで功績をつかみに来る。
政府のありえない不正が次々に明るみに出ているのは、そういう背景があるのではないだろうか。
近ごろ明るみに出た、中央政府の不正、いったい誰が「そこまでやる」と予想しただろう。

そういえば、今日は国会で麻生大臣がこんなことを言ったそうだ。

麻生氏「表現する時はなるべくいいことを言わないと支持率が上がりませんので、私どもとしては努力していろいろいいことを探して申し上げている」

売り上げになりふり構わないセールスマンと、一致する。

「まさかそこまではしないだろう」という根拠のない相手への信用は、今後は通用しないと思ったほうがいいのかもしれない。
どんな分野でも、きちんと理論武装をして、おかしなことにはキッチリ「おかしい」と言える態度が、これから生きていくのには必要不可欠な能力になるのではないかと思う。
その相手が、大企業だろうが、政府だろうが。

 

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