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1億円お年玉キャンペーンに見る格差

ちょっと話題的に出遅れた感が強いんだけど。

 

ZOZO前澤社長の1億円お年玉キャンペーンについて思うところを書いてみようと思う。

経緯をかいつまんで説明すると、ZOZO前澤社長が

《僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼント》

とツイート。参加希望者は、アカウントフォローとリツイートで応募が出来るというもの。
反響は大きく、500万回以上もリツイートされ、フォロワ数も50万人から500万人に一気に増えた。

 

ネット界隈の意見の一つには、「宣伝手法としてすばらしい」というのがある。

世間が驚くような企画を自身の名前で打ち上げ、それがマスコミにも取り上げられることで、結果的にタダでマスコミに載る。
ドイツの新聞でまで紹介されたくらいだから、その話題力たるや、ハンパではない。
今まで誰も考えつかなかったし、実際に告知効果は、一般的な広告費1億円以上の成果が間違いなくあったと思う。

皮肉なことに、同時期に「宝くじの売り上げ低迷で、自治体が収入減」というニュースがあった。
一枚300円もする上に、ほとんど当たることのない、割の合わない買い物という考え方が定着してきているようだが、前澤社長のお年玉企画は、フォローとリツイートで一銭もかからないわけだから、なるほどみんな乗るわけだ。

宝くじの収益が激減で苦しむ地方自治体
宝くじの売り上げが低迷しているそうだ。 「若者の〇〇離れ」ということがよく言われるご時世で、あまり意外な話ではない。 しかし、テレビCMがあれほど頻繁に打たれているのだから、それなりに売れているものだのだろうと勝手に想像していた。 ...

 

そしてネット界隈で大きかったもう一つの反応は
その金をまず社内の非正規労働者に還元すべき」という意見。

倫理的に、納得な意見だ。
反対する余地は全くない。

ただ、企業が人件費を正社員から非正規に置き換えコスト削減する一方で、広告費には何億円も回し、大々的にテレビCMを流すことは、別に珍しいことではない。
今回の前澤社長の手法は、「広告費として」ではなく、社長の名前の下に現ナマでばら撒くという、いささか下卑たものだったので「そんなことをするくらいなら、従業員に回せ」という声が出たのは自然なことだと思うが、かといって、それを社会として一企業に強要するには無理がある。

企業が優れた倫理観を持っていて、社会貢献を意識しながら利益を上げていく、というのは確かに理想的だが、残念ながら多くの企業がそんな風にはなれない。

大企業が「企業イメージ」として倫理観を掲げる場合もあるが、イメージを大事にするほどでもない企業は、一円でも安く人を使いたがり、非正規どころか、先ごろ話題になった外国人実習生に対する仕打ちのような「人でなし」なことまでしてしまう。

そこをそうならないよう、ルールとして定めたのが、労働法や各種の規制だ。

今の日本は、とにかくこうした「ルール」がおかしくなっている。
「ルール」をどこで決めるかというと、政治であり、主なものは国会だ。

多くの労働者が政治に関心がなくなったことにより、政治も労働者に関心を寄せなくなったと言っていいだろう。

ZOZO社長の成金趣味を嫌うのは人それぞれだが、文句を言うべきは政治への方だと思う。

考えてみて。

1億円ばら撒ける人は1票だけど、100万円が欲しい人は500万票あるんだよ。