2021年2月17日衆・予算委、長妻昭議員質疑から、2018年に問題となったマイナンバーに関する情報漏えいが、再び注目されている。
(2018年3月19日産経)
「この会社」とは、豊島区にあるSAY企画という、官公庁からのデータ入力業務受託を主とした法人で、この後2018年6月にすでに解散している。
年金機構には800人体制で業務を行うと説明しながら、その実スタッフはたった130人しかおらず、過剰な業務受託が中国の業者に再発注する原因となったとも思える。
SAY企画は厚労省から受託した他の事業で、作業が終わっていないのにその代金が支払われているというような不祥事も、のちの会計検査院の調査で明らかになっており、この企業と厚労省の関係にはふつうでないものを感じざるを得ない。
2018年にこの問題が発覚したのは、17日に長妻議員が示した、年金機構への通報メールが発端だと思われるが、当時このメールが公開されることはなかった。
今回の質疑で、長妻議員によりその内容が私たちの知るところとなった。
この資料を元に、国会審議の一部を紹介する。(書き起こしではなく、発言要点)
◇日本年金機構・水島理事長「このマイナンバーが本物かどうかという確認は差し控えたい。2018年の問題に関しては、調査の結果、中国に渡ったのは氏名とフリガナのみの情報だったとの報告を受けている。」
◆長妻議員「(2018年の問題について)当時も名前とフリガナだけが委託されただけだ、ということで終わっていた。その時にこのメールは一切公表されなかった。ところがここにはマイナンバーや配偶者などの情報も記載されている。昨日水島会長に確認した時は、メールに記載された個人情報は正しいもので、だから当時、驚いて調査をしたとの説明を受けた。もう一度聞くが、これは本物か?」
◇水島理事長「正しい情報だが、私が確定的に申し上げるのは差し控えたい。」
もうこの時点で答弁の意味が分からない。
重要な問題の国会質疑にこんな風にしか答えられないのなら、それだけでクビに値するのではないか?
◇水島理事長「当時、外部の専門家を入れて調査をしたが、流出をしていないという結果になった。メールで提供された情報が流出していたのは事実だが、流出したという事実は確認されていない。」
国民の個人情報が流出したか否かという重要な問いに、この回答は許されるのだろうか。
◇田村大臣「当時の調査でも、氏名・カナしか流出していないとする専門家と他の情報も流れていたと疑う専門家もいた。」
田村大臣のタラタラと長い言い訳答弁を聞くと、要するに調査チームの中には異なる意見があったまま、結果を出さずに今に至っているということだ。
あれから3年が経とうとするのに、なんといい加減なのだ。
しかも、田村大臣からは、これを深刻に受け止め再度調査するといった明確な意志すら示されなかった。
菅政権下でマイナンバーには、健康保険証、医療資格や教員免許、銀行口座などいろいろな重要な情報を紐づけしようと余念がない。
そんな中、マイナンバーの管理がこうも杜撰で、かつ問題が起きても隠匿体質によって事実を明らかにしない態勢のまま運営されることに危険はないのか。
菅長男の会食疑惑が炎上するとともに、コロナ対策、ワクチン問題、と長妻議員の専門である厚労関係に質問すべき問題が山積みである中、このマイナンバー漏えい問題はほんの少しの時間しか割かれなかった。
この件について、今後、厚労省がどのように対応するのか注視したい。