スポンサーリンク

26兆円の経済対策が閣議決定 庶民に恩恵は来るのか?

12月5日、政府は臨時閣議決定で事業規模26兆円の経済対策を決定、メディアの見出しには「26兆円」の見出しが躍った。
「桜を見る会」で安倍政権の旗色が悪くなったので、急にこんなことを言い出したのだろうか。

 

経済対策の策定は、2016年8月以来約3年ぶり。前回は事業規模28.1兆円、財政措置13.5兆円で、今回の対策は前回に迫る規模となった。
(2019年12月05日時事)

 

この規模の経済対策は2016年以来ということだが、2016年とはどんな年だったか。
折からの金融緩和で株価や地価は調子が良かったが、一般人にはあまり関係のない景気だった。
アベノミクスは「第二の矢」とかいうのが放たれたらしいが、なにが「第二の矢」だったのか、いまだによく分からない。
伊勢志摩サミットでは、安倍首相が「世界にリーマン級のリスクが迫っている」という演説をし、消費増税10%を見送った。
世界の首脳の前で「リーマン級」と謎の宣言をした安倍首相は、世界の失笑を買った。
その後の世界の景気は好調で、安倍首相の「リーマン級」という宣言は、消費増税延期の理由にするだけのために、世界の首脳の前で総理大臣が「言ってみた」みたいな、国内向けコンテンツ作りに過ぎなかった。

 

それから3年が過ぎたわけだが、果たしてなんらかの効果があったろうか?
この時の28兆円は、大企業や金融、官邸のオトモダチ筋のあたりをぐるぐると周り、下々までしたたり落ちることはなかったように思う。
安倍首相の「アベノミクスをクルクル回して前に進んでいく」という迷演説もこの年に出たものだが、クルクル回るとは、そういう意味だったのかもしれない。

 

さて、2019年の話に戻るが、メディアに踊る「26兆円」という見出しもトリッキーで、現実には、

国と地方の支出や財政投融資を合わせた財政措置は13.2兆円。

である。
残りの半分近くは期待される民間支出なので、確定しているわけではない。
つまり政府からの純粋な財政出動は、約13兆円ということだ。

 

この経済政策、名付けて「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」、いつもにまして空虚感しかないネーミングだ。
では、内容を見てみよう。
大きく三本柱になっている。


(2019年12月05日時事)

 

「ハザードマップ作成加速」「堤防強化」
これは、細かく中身を精査する必要があるが、まぁ、主旨は悪くはないので良いとしよう。

 

「中小企業の生産性向上支援」
中小企業を支援するのではなく、「生産性向上」を支援すると書いてあるところがミソだろう。
中小企業が苦しいのは、そもそも生産性が問題なのだろうか?
消費増税のような、中小企業圧迫政策を取りながら、「生産性を支援」というところに、絶望感しかない。

 

「酪農支援」
いや、これはそもそも「日米FTA」という米国の要求を丸呑みした、日本政府がヘタ打った協定が原因で、今後の酪農圧迫が必至となっているからだろう。
支援のまえに、あの協定はどうにかならなかったのか?という疑問が先に来る。

 

「氷河期世代支援」
もしこれに本腰をいれるなら、今回の経済対策の一本柱になってもいいほどの規模になる。
「経済対策三本柱」のうちの二本目の5番目で対策しようって位置づけに、やる前から「ほとんど何もしません」という意図しか感じられない。
1700万人とも言われる世代を救うのに、こんな片手間みたいな事業でどうにかなるとでも思っているのか?
つい先日、2019年の出生数が100万人割れが確実になり、少子化の想定外な加速に政府もビックリ、と報じられていたが、この問題にもつながる話だ。
いかに政府が少子化に興味がないかが、よく分かる。

 

「安全装置付き自動車購入への補助」
自動車販売促進の補助金は、恒例というか・・・。
控え目に言って利権である。

 

「マイナンバーカード保有者にポイント付与」
これは結構スジが悪い。
納税や年金情報が入っているカードで、買い物をさせようという発想も驚きだが、「カネをやるからカードを作ってくれ」って、そこまで言われると、むしろ怪しさを感じて作りたくなくなるのが人情というものではないだろうか?
こんなことをしても、カード利用者はさして増えないと思われる。

 

「小中学校でパソコン一人一台」
これも、リースのオリックスあたりとの利権のにおいしかしない。
そういえば今月3日に、オリックスの社長がイチローと一緒に官邸訪問していたな・・・。
小中学校にお金をかけようというなら、教員たちの働き方の改善とか、冷房がまだ入っていない学校への補助とか、まだほかに優先順位の高いものがあるように思う。

 

さあ、どうだろう、この経済対策で日本のGDPがアップするに違いない!と、内閣府の試算どおりに実感できるだろうか?
経済対策と財政出動には、全く反対する気はないし、むしろ必要だと思うけれど、肝心なのはその中身だ。
官邸界隈や省庁の利権を軸に支出先を練ったのでは、ばら撒いてもばら撒いても、額面に見合う効果は絶対に出ない。

 

いまこの国に必要なのは、経済対策とする財政出動だけでなく、それを正しい場所に効果的に使用してくれる政治家ではないだろうか。
7年も続いた安倍政権での金融緩和や財政出動は、結局は多くの人に届かぬまま、今でも経済は滞っている。
これは、経済政策の失敗であり、それが明らかになった以上は、他の人に新しい知恵を出してもらうことが肝要と思う。

 

さようなら、安倍首相。お疲れさまでした。

 

にほんブログ村 政治ブログへ