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ジャパンディスプレイ元幹部の死亡と官民ファンドの闇

5億7800万円を着服したジャパンディスプレイの元幹部が死亡したというニュース、これにはなんとも言えない寒気が走る。
このニュース、報じられ方に最初から違和感を感じた。

 

官民ファンドからの公的資金の支援を受けている液晶パネルメーカー、ジャパンディスプレイは、経理を担当する幹部社員が5億7000万円余りを着服し、懲戒解雇していたことを明らかにしました。
発表によりますと、2014年7月から去年10月までの4年余りの間に、当時、本社の経理部にいた管理職の社員が、架空の取引先の口座に業務委託費などの名目で会社の資金を振り込ませるなどして、5億7800万円を着服したということです。
社内の内部通報で明らかになり、会社の調査に対し、この社員はギャンブルに使ったなどと着服を認めたということで、会社は去年12月に懲戒解雇したうえで警察に刑事告訴しました。
(2019年11月21日NHK)

 

これは11月21日のニュースだが、「明らかにしました」とある。
いつの話かとその先を読んでみると、「去年」つまり2018年の12月に当人はクビになった上に、警察にまで話が行っている。
なぜ1年近くも過ぎてから、「明らかに」したのか。
その意図が分からない。

 

この元幹部についてジャパンディスプレイは、本人から26日「着服とは別に、過去の決算で不適切な会計処理を行っていた」との連絡を受けたと発表しました。
不適切な会計処理を行った理由について元幹部は、「当時の経営陣から指示があった」と主張しているということです。
(2019年11月27日NHK)

 

ジャパンディスプレイが着服の件を発表してからおよそ1週間後、今度はこんなニュースが出てくる。
なぜ捜査当局ではなく、会社に連絡をしたのだろう。
「当時の幹部」と今の幹部が完全に入れ替わっているということだろうか?
実に不可解だ。

 

ジャパンディスプレイは「決算は入念に精査しており、適切な会計処理が行われたと考えている」としていますが、監査法人と協議して事実関係の調査を始めたほか、今後、外部の専門家にも調査を要請する方針です。
(2019年11月28日NHK)

 

翌日には、外部調査を入れる方針をジャパンディスプレイが発表する。
が、12月1日、元幹部の突然の死亡が報じられる。

 

捜査関係者などによると、元社員は11月27日朝、東京都新宿区のホテルの部屋でほぼ意識不明の状態で倒れているのを発見された。病院に搬送されたが、その後死亡したという。携帯電話には、着服を認めた上で「死んでおわびします」といった内容のメッセージが残されていたという。
(2019年12月1日朝日新聞)

 

よく見ると、死亡した日はこの元幹部が粉飾決算について「会社に連絡を入れた」とされる翌日のことだ。
ここでも、報道まで4日もかかっている。
いちいち遅れて発表されるところが、なんとも気味わるい。
「当時の経営陣に指示されて」と告発をしようとした人間が、翌日に「死んでおわびします」というのは、不自然極まりない。
さらにこの際だから、下世話になるのを覚悟で言わせてもらうと、「携帯に遺書」って、2時間ドラマなら絶対にアカンやつだ。

 

そして、ニュースを一通り把握したうえで、これは絶対に捜査は入らないだろう、という絶望的な確信を得る。
それは、行政が絡む案件だからだ。

 

安倍政権になって以来、「官民ファンド」のひどい実態をいろいろ見て来た。
クールジャパンや農水官民ファンドのA-FIVEなどは、このブログでも取り上げた。
いずれも、ハナから事業を成功させる意識が欠けていて、ファンドに関係者が群がって資金を食い尽くし、最後は「失敗しました」と幕を下ろす、これに尽きる。
余談だが、農水ファンドに至っては、A-FIVEを廃止で調整中とされているが、廃止と同時に「今一度、新たな官民ファンドを作ろう」なんて、ナメたことを言っている。

 

一方、JDIは経産省がらみの案件だから、その規模は農水ファンドなんかの比ではない。
産業革新機構から2014年から2018年の間に3000億円以上の融資を受けている。
桁が違うのだ。
そして今、それは破綻しかかっている。

 

陰謀論と言われようが、この元幹部の死亡には、なんとも言えないキナ臭さを感じずにはいられないのだ。

 

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