プレミアム付き商品券の購入が予想外に少ないことを受けて、西村経済再生担当大臣がコメントをしたという話が、NHKで報道された。
(2019年10月29日NHK)
この商品券システムは、全国民を対象にした話ではないので、対象者以外にはあまり関心のある話ではないかもしれない。
ただ、「2万円払って2万5千円分買い物ができる」お得な商品券を、「対象」とされた人がなぜ利用しないのか、少々気になった。
まずは、「利用者が少ない」とは具体的にどういう内訳か、東京新聞に詳しくあったので、引用する。
最も申請率が高かったのは青森市の44.3%で、秋田市が41.9%、前橋市が41.6%で続いた。一方、新宿区と渋谷区が14.8%で最も低かった。
申請率が低い理由として「所得が低い人にとって購入費の工面が難しい」や「手続きの面倒くささを嫌がっている」などの声が多かった。
(2019年10月28日東京新聞)
この「都会の低さ」というのは、どうして起きる現象なのだろうか?
対象外の人にとっては、わりとどうでもいい商品券購入のシステムについて、あえて調べてみた。
参考にしたのは、内閣府の特設サイト。リンクはこちら→ 確にん
①市役所で申請書を入手する
↓
②申請書を記入して市役所に送付
↓
③市役所から「引換券」が届く
↓
④引換券を持って、市役所、郵便局などで商品券を購入
購入ができるのは、「住民税非課税者」と乳幼児をもつ「子育て世帯」。
子育て世帯には、手続き①~③はなく、自宅に「引換券」直接送られてくるようだ。
こちらは、まぁまぁ問題なさそうだ。
ただ、「住民税非課税者」はちょっと面倒だ。
基本的には、「住民税非課税者」であれば、申請用紙は自動的に送られてくるようだが、「そうでない場合」もあると内閣府のサイトにはある。
「そうでない場合」が、手違い等でイレギュラーに発生するものなのか、市町村によって違いがあるものなのか、そこはよくわからない。
その場合、自分で用紙を入手する必要がある。
そして、その用紙がこれ。
確かに、そう難しい書類ではないものの、高齢者によってはハードルが高いと感じる人がいても不思議ではない。
これを記入し市役所に送付して、商品券購入の対象者と認められると引換券が送られてくる。
それを持って、商品券を購入するわけだが、市町村によっては市役所だけでなく、指定の郵便局やショッピングモールなどでもできることがあるようだ。
ただ、ネットを使えない人には、その情報を得ることがそもそも難しいといえる。
また、商品券を使える商店も、加盟した商店に限られる。
加盟点が充実しているかどうかは、地域によって違うと思うが、500円券で釣銭が出ないということなので、何でも売ってるスーパーなどではいいかもしれないが、肉屋、魚屋といった店を使う人には、使いにくい場合もあるかもしれない。
ここで考えたいのは、地方の利用者が3~4割台なのに比べて、首都圏の異様な低さだ。
これは想像だが、比較的若い人たちには、申請書を書いて出して商品券を買いに行く、という一連の手続きは面倒でも出来ないこともないし、足りない情報は自分で検索してネットで見つけることができる。
今まさに、私が内閣府のサイトを見て調べているように。
ただ、高齢の対象者には、それができるだろうか?
首都圏の利用の低さは、対象となっている人、特に高齢者が、独居であることが大きな原因なのではないかと思う。
独居だと、毎回の買い物で合計500円以上にするというのも、少なからずハードルかもしれない。
一方で、地方の利用率が高いのは(といっても4割だが)、2世帯同居などで、身近に代わって記入したりアドバイスしてくれるような人がいるからではないか。
まぁ、とにかく商品券ゲットまでは、なかなか面倒くさいということがお分かりいただけたと思う。
この手続きの手順を調べていて、最も滑稽に思ったのは、もう一つの消費増税対策である「キャッシュレス」と、「商品券システム」の理念が、まったく真逆であることだ。
電子決済だのなんなのと言う一方で、紙、郵便、紙の商品券というアナログの極みのようなシステムを並行して施行するこの国の中央は、いったい何を考えているのだろうか。
キャッシュレス・ポイント還元システムも、独自の問題を抱えていて、こんな報道も出た。
麻生財務大臣:「今のところで行ったらギリギリで足りるんじゃねーかと思っていますけどね。まぁ足りなくなったら足りなくなった時の話で、必要があるというのであれば予算の執行状況などをよく分析してからの話ね」
(2019年10月29日テレ朝)
「まぁ足りなくなったら足りなくなった時の話で」
これが本邦財務大臣のコメントだ。
消費増税に伴う「景気対策」とはいったいなんだったのか。
まだ現在進行形ではあるが、半年、一年と経ったのちに、「なんだったんでしょうねぇ」で終わらせてはいけない。
のちに検証するヒントとするためにも、このバカバカしいまでに理念のない増税およびその使い道を、ブログにして記憶にとどめておこうと思う。