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日韓関係、じわりと経済に影響

日韓関係の泥沼化が続く。
レーダー照射問題や、徴用工問題を経て、こじらせまくっている。
その経緯をここに書くのは、長すぎるのでやめておく。
また、どちらがいいか悪いかという点でも、言いたいことはあるものの、今回はちょっと横へ置くことにする。
ここでは、「問題を無為に引きずる」ということが、どれほど日本に損失を与えるかということを考えていこうと思う。
話は半導体産業界隈だけでは済まなくなり、すでに思いもしなかったところまで及んでいる。

 

まず、2国が揉めていることで、近隣のその他の国が、その足元を揺さぶりにかかる。
竹島付近に、ロシア機が現れたのも、その一環だ。
日韓ともに、それぞれロシアに抗議したものの、韓国とロシア間で、
露「機械の故障だったみたい、悪かったな。」
韓「故障では仕方ない。気を付けてくださいな。」
というやり取りが、外交上成立している。
日本政府も抗議はしているはずなのだが・・・。
ガン無視されているのだろうか。
ロシアには、抗議FAXを送ったのだろうか?(これは以前、北朝鮮がミサイルを発射した時、実際の政府の抗議手段だった)
小さな事件だが、こういう事実の積み上げが、領土問題では重要になる。

 

さらに北朝鮮は、日韓間の安全保障協力に水を差して、韓国側に「日本なんかと手を結ぶのはやめちまえ」、と誘いをかける。

 

北朝鮮の宣伝ウェブサイト「わが民族同士」は28日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を韓国に要求する論評を掲載した。半導体材料の輸出規制問題で日韓関係が悪化していることに乗じて、両国の安全保障協力にくさびを打ち込む狙いがあるとみられる。
(2019年7月29日朝日新聞)

こうなると、日朝会談、拉致問題解決どころの騒ぎではない。

 

また、大韓航空が9月3日から、日韓関係悪化による収益性の低下を理由に、札幌―釜山間の運航を停止する発表をした。
韓国の釜山市では、日本との交流事業の見直しも表明された。
どちらも、インバウンドに深刻な影を落としそうだ。

 

日本政府は、経済的に庶民をいじめて国内消費を落としたが、それを訪日外国人客の消費で賄う政策を取ってきた。
このまま秋になり、消費増税が決行され、国内需要が冷えたところにインバウンド消費までが減少したら、いったいどれほどの影響が出るのか。

 

先日、こんなツイートを見かけた。

 

 

あれ、訪日外国人で最も多いのは中国人ではなかったか?
確かに全国の統計では、訪日外国人による消費全体の36%が中国、次いで台湾13%、韓国13%と、バカには出来ないものの、韓国はそれほど大きな割合は締めてはいない。
観光庁調べ2019年1~3月期
これは、どうやらこれは九州独特の事情のようだ。

 

下は、国土交通省九州運輸局の統計で、ここでは、消費額ではなく訪日客の各国人数の占める割合だが、九州では韓国人観光客が実に全体の6割に近いのだ(黄緑色の部分)。
これは知らなかった。
なるほど、関係が悪化して以来、日韓を結ぶフェリーの利用客が激減したというニュースを少し前に見かけたが、これは九州の経済にとっては大きな問題だろう。

 

そういう背景を踏まえて、このニュースを読むと、日本政府の焦りが伝わってくる。

 

日韓関係の悪化に伴い、韓国の釜山市長が日本との交流事業を全面的に見直す考えを表明したことについて、
菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で「大変残念に思っている。日韓両政府の関係が困難な状況でも国民間、自治体間の交流はしっかり続けていくべきだ」と述べた。
また菅氏は会見で、今後の対応を問われ「この種の交流は重要との考えのもと、適切に対応していきたい」と答えた。
河野太郎外相も29日の記者会見で「政府間で難しい問題に直面しているが、こういうときだからこそ、国民交流というのは重要だろう」と指摘。「自治体間交流というのは国民交流の柱」としたうえで、「文化交流、スポーツ交流などと並んで、こういうときにこそしっかりやっていただきたい」と求めた。
(2019年7月29日朝日新聞)

 

いくらなんでもムシが良すぎるのではないか。
河野外相に至っては、強面に韓国の外交官をやり込めるところをテレビで全国に流し、その威勢のよさを一部の嫌韓人から絶賛されたかもしれないが、その代償は少なくない。
政府が壊している隣国との国交を、民間で補えというのは、本末転倒もいいところだ。
民間が円滑に交流できるようアシストするのが、政府の本来の役目だろう。
政府は民間のために働くのであって、政府を支えるために民間があるわけではない。
そういう基本的なところを、現政権は大いに勘違いしている。

 

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