これは日本もいよいよ戦時中のような、「思ったことを言ってはいけない」社会になりつつあるのかと、恐怖を覚えるような出来事が北海道で起こったことを、皆さんはご存じだろうか?
(2019年7月16日朝日新聞)
公職選挙法違反?声かけ?
その時の映像が、ネットでも出回っているのだが、それを見る限り、警察の言い分と状況はずいぶん違う。
まず、「ヤジ」で排除されたという男女2名は、メガホンも何もない生声の状態で、男性は「安倍ヤメロ」、女性は「増税反対」と叫んだのだという。
これは、公職選挙法違反には当たらない。
同記事の中で、刑法の専門家が次のような見解を述べている。
他のメディアでも法曹界の人などが、この一件に関してコメントをしているのを見たが、結論は一様にして、「演説の妨害には当たらない」というものだった。
また、警察のコメントが「声掛け」したなどとなっているが、「声掛け」とはそもそもどういう状態のことを指すのか?
私はネットでその様子を撮影された動画も見たが、あれは「声掛け」などというものではない。5~6人で取り囲み、そのうちの数人が腕や肩などをつかんで、無理やり違う場所へと強制的に引っ張っている。
北海道という遠いところの街角で起きた小さな出来事、一昔前なら「警察発表」が唯一の現場説明となり、目撃者以外は本当のことを知らない、ということで終わったのだろうが、今の時代はそうはいかない。
警察がいい加減な発表をするや否や、その現場を撮影した動画がネットに出回り、世界中どこにいても「そこでなにがあったのか」映像で確認することが出来る。素晴らしい世の中だ。
17日になって、警察は「公選法違反のおそれがある」から、単に「事実を確認中」に見解を切り替えたことからも、動画の拡散で、うかつな見解を広めると厄介なことになると気付いたと思われる。
この市民排除に加わった警察官は、北海道警の警官と安倍首相のspだと思われる。
霞が関の官庁の中で、「忖度」が起きていることが言われるようになって1年以上になるが、現場で公務についている警察官が、安倍首相への「忖度」を根拠に、市民に対して実力行使をためらわない、ということには、言い表せない恐怖を感じる。
また、これに関して報じるマスコミが異様に少ないことも気がかりだ。
一部新聞が小さく扱っているのと、ラジオ程度で、テレビはおそらく地元の札幌のキー局のみが報じているだけで、いわゆる全国ネットのニュースでは報じていないと思われる。
こんなに怖いことが起きているのに、ネットに触っていない人は、知ることが出来ないのだ。
その北海道の地方局のニュースの動画をネットで見かけて知ったのだが、朝日新聞の記事にある排除された男女以外にも、もう一人、やや年配の女性も排除されていた。
彼女はプラカードを持って、安倍街宣の傍らに黙って立っていただけだという。
そのプラカードにはなんて書いてあったか?
「年金100年安心どうなってるの?」
これだけだ。
こんな表現すら許されないのか?
遊説先で安倍首相の気分を害するものを、先回りして排除するのが公務員の務めなのか?
ずっと昔、何かの本で読んだ記憶がある。
文化大革命時代下の中国では、独裁者毛沢東が列車で遠隔地に赴くとき、官僚たちはその旅程にある沿線をあらかじめチェックし、車窓から見える貧乏っぽいもの、中国共産党っぽくないものを、徹底的に事前に排除し、毛沢東の車窓からは常に「豊かで幸せな中国」が見えるよう演出していたという話だ。
そういう世界が、間近に近付いている感じがして、なんとも不気味だ。
札幌市での市民排除の一件は、すでにネットの一部とはいえ、物議を醸しているのにもかかわらず、18日には、安倍首相の遊説先の滋賀県大津市JR大津京駅前で、新たに市民が「排除」された。
政府として、反省するところは全くないようだ。
国の壊れ方が、あまりに急速に進んでいる。
一刻も早く、安倍首相の言う「この道」から引き返さないと、大変なことになる予感がしてならない。